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国際トゥースフレンドリー協会の会議報告
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1998年2月11日〜13日

  日本トゥースフレンドリー協会会長 山田 正



国際トゥースフレン
ドリー協会の美人
コーディネータ、
Ferhan Alesiさん
 去る2月11〜13日、スイス・チューリッヒにおいて国際トゥースフレンドリー協会の各種会議が行われました。

 2月11日は、四つのテストセンターの代表による「歯に信頼マーク」を付けるためのテスト方法の基準を検討する会議(私は、阿部助教授の代理として出席)、12日は、各国のトゥースフレンドリー協会とアクショングループ(協会はないが国際協会が直接管理する各国の活動拠点)の代表による計画委員会(TSI planning Committee)が行われました.最終日の13日は、常任理事会に相当するPresident Council Meeting(グッゲンハイム会長、ドイツのBossman教授、英国のCraig教授、韓国の金教授と私の5名によりにより構成)、会員企業を含め助言を行うTSI Advisory Council Meeting、そして最後に、各国の協会代表で構成される国際トゥースフレンドリー協会総会が行われました。


 まず,11日のテストセンターの会議について報告します.

 今回は、厳しすぎる酸蝕症の試験を科学的根拠に基づいて改訂することが大きな目的でしたが、この検討をしていたZappa教授の父上が前日に他界され、欠席したため、次回まで延期されました。

 前年に行われたRing Test、すなわち、各センターで同じサンプルで盲検を行った結果が報告、検討されました。4つのサンプルについて、すべてのセンターの結論が一致してことは、この試験方法の信頼性を確認する意味で大きなことでした。

 この中で、すべてのテスト・センターで歯垢の pH が5.7以下に低下するので「歯に信頼マーク」が付けられないとされたキャンディーが、実はシュガーフリー(すなわち、糖アルコール以外の単糖類、二糖類の含有量がが0.5%以下のもの)であったことが披露されました。これは、シュガーフリー、シュガーレスの製品が必ずしも歯に安全ではないことを示す重要な例ですので、右図にその結果を示しておきます。

 最近、粒の小さい製品(一般に香料が強い)が多くなってきたので、これをテストするときの最小重量について議論しました。その結果、一回に0.5g以上の量を摂取することに決まりました。また、日本での適応を検討している飲料については、2mlで洗口してしてテストすることとなりました。


会議の開かれた
チューリッヒの町並み
 
 



国際トゥースフレンド
リー協会の事務局長
ベール博士
 二日目以降の会議は、話題が重複しますので一括して報告します。

 現在、国際トゥースフレンドリー協会は、米国で協会を設立すべく多くの活動を行っています。すでに、一昨年は、電極内蔵法で歯垢の pH を5.7より低下させないとのトゥースフレンドリー協会の基準が FDA(米国食品医薬品局)の基準として採用され、昨年には、このような製品に「歯に信頼マーク」を付けることが認可されました。しかし、本格的な活動をするためには、米国にトゥースフレンドリー協会をつくることが重要であり、そのために、国際協会の事務局長、ベール博士が多大な努力を払っています。

 また、英国での「歯に信頼マーク」付き製品が伸び悩んでいるため、専門小売店、仕入れ業界を通じての広報活動に対して、国際協会は大きな支援をすることにしました。


 このような活動をするためには、多くの資金を必要とします。

 国際協会の資金の多くは、これまで、素材メーカーからの寄附に多くを依存してきました。しかし、それだけに頼っていることにも問題があり、ロゴ使用料(ロイヤリティー)をかなり増額すべきではないかとの議論が、全会議を通じて活発に行われました。ことに、小さい、重量の少ない打錠の菓子にロゴマークを付けることが多くなってきたため、事実上のロゴ使用料の値下げになっている現状を打開すべきだとの議論が多くありました。そこで、これまでの売り上げ重量当たりの課金から、売上高当たりのの課金にする方が合理的だとの意見が大勢を占めました。

 しかし、日本協会がこの方針を踏襲して売上高の報告を企業に求めることには問題があると考え、ロゴ使用料の課金の方法は、各国の協会が独自の方針で行えることを確認してもらいました。実際、本年度の総会では、企業会員からは売上高当たりの課金にすることは、難しいとの意見が出され、日本協会は、当面、重量当たりの課金の方針で行くことにしました。

 協会をもたない、アクショングループで活動する国では、国際協会の基準で課金されることになります。しかし、ロゴ使用料をいくらにするかについては、議論がまとまらず、そのため、今年11月に再度、総会を開催し、審議することになりました。


会議の開かれたホテル
(Hotel Zurichberg)

景色
会議の開かれた
ホテルからの眺め
 ロゴ使用料を上げたいもう一つの理由は、中小企業の菓子メーカーにとってテスト料金が高すぎるので、協会がそのテスト料金の一部を負担したらどうかとの意見が多く提示されたからです。

 しかし、寿命の短い商品では、テスト料金の補助をカバーできるだけのロゴ使用料をもたらす売り上げがあるか保証できない点などがあり、ある意味での先行投資が回収不能となる可能性もあることが問題となりました。なかには、テスト料金を無料にして、すべて協会の費用で賄う案も出されました。

 しかし、多くの菓子メーカーにとって、費用の問題以上に、テスト期間の長さに問題があるようです。テスト製品が殺到すると、現在四つしかないセンターが込み合い、テスト期間が年単位で伸びてしまう可能性があり、これはメーカーにとってかえって不利になることを日本協会として主張しました。

 その結果、テスト料金の補助は、とりあえずは、ないことになりました。


 現在、イタリアにも協会がつくられていますが、歯に信頼マーク付き製品の売り上げが極めて少なく、広報活動もあまりないため、イタリア協会を解散し、アクショングループとして国際協会の直接管轄下におくことが提案されました。イタリア協会の総会で最終決定がされますが、協会をもたない場合、その国の独自の方針がとれないことになります。

 「歯に信頼マーク」の基本色が赤に統一され、やむを得ない場合のみ黒を使うことが、国際協会の方針として了承されました。しかし、日本協会から主張し、各国協会の会長が了解すれば、期間を区切って他の色の使用を認めるという、例外処置は了承されました。

 以上の報告から、トゥースフレンドリー協会の国際的な活動がどのような問題点を抱え、その科学的根拠を確かなものとするための種々の努力がされていることが幾分でもおわかりいただければ幸いです。

景色
会議の開かれた
ホテルからの眺め

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