まず、食品や素材の安全性については、トゥースフレンドリー協会としては基本的には
コメントする立場にはありません。
「歯に信頼マーク」の付いた食品の全身への安全性は、
厚生労働省など責任ある機関で安全と判定しているものを使用している以上、
これについて、トゥースフレンドリー協会がとかく言うことはできないと思います。
明らかに為害性のあるものが含まれていれば、トゥースフレンドリー協会として
「歯に信頼マーク」を付けることを拒否することはあると思いますが。
国際トゥースフレンドリー協会事務局長のベール博士は、
このような食品の為害性についての専門家ではあります。
このような理由で、日本トゥースフレンドリー協会会長という立場は離れて、
一研究者としての私個人の見解を以下に述べさせていただきます。
記事の内容を見ますと、「医療に用いる量の」という極めて重要な文が抜けているのは、
新聞記事として極めて無責任だと思います。
ただ、この文が入っていたとしても、一般の方々には、チューインガムに入っている
キシリトールにも問題があるとの誤解を招くでしょう。
このような点から、朝日新聞のこの記事に対する姿勢について、
私は大変疑問に思います。
「医療に用いる量の」とうことは、医療現場で使う点滴の中に入っているキシリトール
についてだと思います。
このような方法で体内に取り込まれるキシリトールの量はチューインガムの甘味料として
使っているキシリトールの量に比べると圧倒的に多いと考えられます。
このような大量のキシリトールを摂取すると、その代謝の結果、
細胞内NADPHのレベルが上昇するとの記載もありますので、
場合によっては全身的な問題を起こすことも考えられないわけではありません
(決して為害作用があると言っているわけではありません。
この判定は、その道の専門家にゆだねられるべきでしょう)。
最近、点滴液の中にキシリトールの入っているのを見かけなくなったのは、
あるいは「妊娠中、授乳中では、摂取量の安全性について十分なデータがなく使用を避ける」
と言うことなのかもしれません。
しかし、点滴で体内に取り込まれるキシリトール量は、
チューインガムなどとともに摂取される量に比べれば圧倒的に多いわけで、
しかも、キシリトールは経口摂取されると吸収が悪いために下痢を起こしやすいわけですから、
多量に体内に入ることはありません。
点滴液で与えるときの問題をチューインガム中に含まれるキシリトールにまで拡大解釈する、
あるいはそのような誤解を招くような報道をすることはもってのほかだと思います。
このような誤解を招くような記事は、極めて無責任極まるものだと私は考えます。
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